大人からのバレエ推進委員会監修

渡辺真弓ようこそ劇場へ

No.1

ABT記者会見と見どころ

アメリカを代表するバレエ団、アメリカン・バレエ・シアターが3年ぶりに、一行130名で来日しました。 7月21日の<オープニング・ガラ>を皮切りに、東京で10公演の後、兵庫、びわ湖と31日まで公演が続きます。初日を前に、20日、都内のホテルで記者会見が行われました。会見には、芸術監督のケヴィン・マッケンジーを筆頭に、ナターリヤ・オーシポワ(後で来日)を除く、12名のスターたちが勢揃い。 一面花が咲いたような華やかな雰囲気は、“世界一ゴージャス”という讃辞がぴったりな感じがします。

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バレエという共通言語がある限り
ケヴィン・マッケンジー

まずマッケンジー監督から、「私が来日するのは8回目。大震災で被災された方々には、大変な時期を過ごして来られましたが、現実から少し離れて幸せな時間を過ごしていただけたらと思います。 アメリカを代表して希望と期待を皆さんにお届けしたい」と温かい激励の挨拶をいただきました。 ABTの特徴は、「世界中からダンサーが集まっていること」で、背景にあるトレーニング方法が異なっていても、バレエという共通言語がある限り、一つに束ねてアメリカ・スタイルのバレエをお届けしたいとのこと。 今回上演される全幕ものの2つのプログラムの見どころについては、まずマクミラン版『ロミオとジュリエット』(ABTでは85年に初演)は、 「演技力によって悲劇性が高まるもので、ダンサーによってダイナミックな迫力が違う点がABTらしさ」。 『ドン・キホーテ』(マッケンジー/ジョーンズ版95年初演)は、「1幕はロシア的ですが、エネルギッシュで、ペースが速い点がアメリカならでは」と話してくれました。

ABT American Ballet Theater来日記者会見

以下、列席者の言葉を順にご紹介しておきましょう。

 

David Hallberg
デイヴィッド・ホールバーグ(ブロンドに輝く瞳の貴公子):「来日はいつも大きな出来事で、楽しみにしていました。 支持してくれる日本のファンの皆様の期待に応えるのが私たちの責任。いいパフォーマンスをお見せしたい」

 
 

Gillian Murphy
ジリアン・マーフィー(黒のドレスがシック):「フィアンセのイーサン・スティーフェルと来られなかったのが残念ですが、代わりに被災者の方々にお見舞いを申し上げたい」

 
 

Marcelo Gomes
マルセロ・ゴメス(貫禄たっぷり):「来日できてうれしい。今回はエキサイティングなプログラムを持ってきました」

 
 

Paloma Herrera
パロマ・ヘレーラ(熱っぽく瞳を輝かせて):「日本に最初に来たのが16歳の時だったので思い出深い。今年はデビュー20周年ですが、ABTで踊れるというわくわくした気持ちは今も変わりません」

 
 

Jose Manuel Carreno
ホセ・マニュエル・カレーニョ(笑顔にも風格が):「今回が、バレエ団とは最後の来日になります。 こんなことを言っていいのか分かりませんが、いい気分です。ダンサーとして25年になりますが、あらゆるレパートリーを踊り、一歩外へ出る段階だと思っています」

 
 

Angel Corella
アンヘル・コレーラ(爽やかな笑顔で):「2001年にスペインで、バレエ団を結成しました。前回は、バレエ団のツァーの準備のために来日できなかったが、今回戻ってこられてうれしい。悲しい時を数時間でも忘れてもらいたい」

 
 

Xiomara Reyes
シオマラ・レイエス(エキゾティックな雰囲気で):「エキサイティングな気持ちで一杯です。パフォーマスを通して、心をヒーリングしていただければ。日本はアジアにおける私の家です」

 
 

Veronica Part
ヴェロニカ・パールト(クール・ビューティの輝き):「初来日は、ワガノワ・バレエ・アカデミーと一緒でした。ABTとは何度も来日していますが、日本には友人もたくさんいて、日本人が大好きです。」

 
 

Julie Kent
ジュリー・ケント(優雅でいかにもプリマらしい):「昨日の午後、ロスからの長旅を経て、ホテルに到着し、夫(ヴィクター・バービー)とエレベーターの中で、 『ああ、家に帰って来れてよかった』という気分になれました。日本ツァーには沢山の思い出があります。 今年はABTに入団して25周年になりますが、ホセ(カレーニョ)のラスト・ステージで共演できるのもよい思い出になるでしょう。 時が過ぎるのは早いもので、オーディションを受けたのが昨日のことのよう。ファミリーのような感じがするところがABTのユニークな点です」

 
 

Cory Stearns
コリー・スターンズ(長身の新進ノーブル):「2回目の来日です。なでしこジャパンの優勝、おめでとう」

 
 

Kajiya Yuriko
加冶屋百合子(日本語で。メンバー達には“シークレットよ”と):ABTのメンバーは、皆日本のことが大好きで、日本人であることを誇りに思います。 遠いNYから、大震災の惨状を見て、胸が苦しくなりました。皆、『日本をサポートしたい』と言ってくれました。アメリカのパワーを持ってきたので、公演を楽しんでいただきたいです」

 

芸術は人々に喜びを与えられるものです。自分もそのように踊りたい。
ダニール・シムキン

ABT American Ballet Theater ABT American Ballet Theater ABT American Ballet Theater ABT American Ballet Theater ABT American Ballet Theater

7月23日夜の公演は、シムキンとの『ドン・キホーテ』全幕。待望の日本での主役デビューに、「ニューヨークでは、2010年に、『くるみ割り人形』に主演し、今年が『ドン・キホーテ』でした。 一言では言い表せないくらい、気持ちが高まっています。日本で主役を踊れるのは特別の思いです。 ABTの看板演目を踊れるなんて、他に素晴らしいキトリがいるのに、私が一緒に並んでしまっていいのかと思うくらい。私は、加冶屋百合子のキトリを踊りたい」と感無量の言葉。晴れの舞台を皆で応援したい。ダニール・シムキン(日本語で愛嬌たっぷりに「こんにちは」):「日本は8回目ですが、ABTの一員として初めて来日できて光栄です。芸術は人々に喜びを与えられるものです。自分もそのように踊りたい。
今回は、『トロイカ』に『ドン・キホーテ』、『ロミオとジュリエット』、それに『レ・ブルジョワ』と出番がたくさんあります」

大震災で被災した日本への深い配慮が感じられる、温かいメッセージの数々。陽気で溌剌としたABTのスターたちから、たくさんのパワーを頂戴した気分で、これから始まる日本公演に期待を膨らませることができました。<なでしこジャパン>の快進撃に続いて、ABTのステージは、猛暑を吹き飛ばしてくれる熱気溢れるものとなることでしょう。  

キャスティング等詳しい公演情報は、ジャパンアーツまで。   www.japanarts.co.jp

渡辺真弓

舞踊ジャーナリスト 10歳でバレエを始め、大学で舞踊教育学を専攻。 オン・ステージ新聞社編集部勤務を経てフリー。 1991年〜2006年パリ在住。専門誌紙や公演プログラム等に寄稿。 公式ブログ→balletpromenade

著書