Ballet Factory

渡辺真弓〜ようこそ劇場へ

コンテンポラリーの名作を熱演韓国のユニバーサル・バレエ団

写真提供=ユニバーサル・バレエ団 写真提供=ユニバーサル・バレエ団 写真提供=ユニバーサル・バレエ団 写真提供=ユニバーサル・バレエ団  

 2011年の『ジゼル』に引き続き、韓国からユニバーサル・バレエ団が来日し、2月28日と29日の二日間、パルテノン多摩で公演を開催した。日本には、1985年の初来日以来、主に古典バレエや創作バレエを紹介してきたが、今回は、<THIS IS MODERN>と題し、初めてコンテンポラリー作品を披露。イリ・キリアン、ウィリアム・フォーサイス、オハド・ナハリンという3人の気鋭の現代振付家による名作を揃えた舞台は、非常に刺激的で、雪の寒さを忘れさせるような熱気をもたらした。  上演前に、ジュリア・ムーン団長からの作品解説があり、コンテンポラリーになじみのない観客にも、理解しやすいようにとの配慮が伺えた。
 第1部は、キリアン振付の『小さな死』(1991年初演)と『六つの舞踊』(86年初演)。別々に創られた作品だが、音楽が同じモーツァルトなので、続けて上演されると、連作のようにも見える。『小さな死』の官能性と『六つの舞踊』のユーモラスな感性の対比が面白い。キリアンの本拠であるNDTでも、こうした連作的な上演を見た記憶がある。確かに、短期間で、キリアン作品の持つ独特の粘りやよどみない流れを習得するのは容易ではないかもしれないが、ダンサー達の熱演が心地よい。
 第2部のフォーサイス振付『イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド』(87年)は、もともとパリ・オペラ座のために創作されたもの。日本では、91年のフランクフルト・バレエ団の初来日公演で紹介されている。あの破壊的な音響とハードな振付の重圧に負けないように踊るのは、なかなか大変な作品である。前半は、スリルよりも安定感の方が強かったが、後半になり、力強い男性ソロをはじめ、張りつめたパ・ド・ドゥが見られ、徐々に緊迫感を高めていった。
 第3部、ナハリンの『マイナス7』は、既存の作品を集めて、①『アナパザ(アナファーザ)』(93年)、②『マブール』(98年)、③『ザチャチャ』(98年)、④『フィナーレ』の4つのパートに再構成したもの。冒頭の『アナパザ』がやはり圧巻。椅子にかけた20数名のダンサーが、帽子、上着、シャツ、靴、と次々に衣類を脱ぎ捨てていきながら、『過越しの祭り』の歌を口ずさむシーンは、宗教的儀式の趣。手前の一人だけがのけ者のように床に倒れるのも意味ありげである。単純な繰り返しの動作だが、底知れない集団のエネルギーを感じさせる。『ザチャチャ』でも、観客を交えて舞台で踊るという趣向が面白く、迫力ある群舞が、客席を興奮の渦に巻き込んで行く様に圧倒された。  いずれも、近年バレエ団のレパートリーに入ったものだが、本場でもそう簡単に見られなくなった名作をこうして紹介してもらえたのはうれしい。若いダンサーたちの今後のステップ・アップになることは間違いないだろう。来年の公演で再会できるのが楽しみだ。

写真提供=ユニバーサル・バレエ団