日本バレエの多彩な魅力を味わえる夢の夕べ~「NHKバレエの饗宴2014」への誘い

若手バレエ・ダンサーの登竜門「ローザンヌ国際バレエコンクール」で日本人が上位入賞を果たし脚光を浴びている。欧米・ロシアの有名バレエ団の来日も引きを切らない。バレエ芸術のグローバルな性質に注目が集まるが、日本を拠点に活動するバレエ団・アーティトも進化・深化を遂げている。2012年に始まった「NHKバレエの饗宴」は“日本を代表するバレエ団やバレエ・ダンサーがカンパニーの枠を超えて一堂に会する”(主催者公式HPより)夢のような公演。3回目となる今回の見どころをご紹介したい(五十音順)。



貞松・浜田バレエ団~地域に根を下ろし世界を見据える関西の雄!



今回関西のカンパニーが初出演する。神戸の貞松・浜田バレエ団は『白鳥の湖』『くるみ割り人形』といったクラシック・バレエの名作だけでなく現代感覚あふれるコンテンポラリー作品にも意欲的だ。イリ・キリアン、オハッド・ナハリンら世界的巨匠の傑作やOBでドイツ・レーゲンスブルクの市立劇場ダンス部門芸術監督を務める俊英・森優貴の秀作を連打し上げ潮に乗っている。今回は現代作品でなく『ドン・キホーテ』第一幕からを上演。古典に関しても定評ありテクニックも備える。バルセロナの広場を舞台にした華やかで明るい名場面だけに、良い意味での関西ならではノリの良さも発揮して盛り上げるだろう。主役のキトリを踊る瀬島五月は赤丸急上昇中のプリマ・バレリーナ。抜群のオーラと非凡な音楽性によって大舞台の中央で光り輝く。公私のパートナー、アンドリュー・エルフィンストンとの相性もバッチリで観るものを幸福感に包む演技・踊りを披露するだろう。

貞松浜田バレエ団『ドン・キホーテ』撮影:古都栄二(テス大阪)



島地保武 酒井はな<アルトノイ>~バレエ×コンテンポラリーダンスのハイブリッド!



昨秋ダンスシーンの話題をさらったのが島地保武と酒井はなによるユニット<アルトノイ>の結成。巨匠ウィリアム・フォーサイス率いるザ・フォーサイス・カンパニーの中心メンバーとして活躍する島地。わが国を代表するプリマ・バレリーナ酒井。〈アルトノイ〉とは、ドイツ語の「アルト=古い」と「ノイ=新しい」からなる造語。長い歴史をかけて育まれた古典バレエの世界を極めた酒井と、先鋭的・実験的なコンテンポラリーダンスのトップランナーの一人である島地。同じダンサーでも積み上げてきたキャリアは違う。昨秋のユニット結成第一弾となった『詠う~あなたが消えてしまうまえに~』は「愛」がテーマだった。奇妙で不思議な味わい、パーソナルで人間味溢れるタッチが心に響いた。今回は新作を発表(音楽はバッハを使用し古川展生のチェロ生演奏が入る)。前作に続き共同で振付を手がける。異なる分野で頂点に立つ才人同士の新たなる挑戦が楽しみだ。

酒井はな+島地保武 『詠う~あなたが消えてしまうまえに~』 撮影:アーノルド・グロッシェル



スターダンサーズ・バレエ団~名匠バランシンが紡ぐ爽やかな佳品!



20世紀バレエを代表する巨匠がジョージ・バランシン(1904~1983)である。バランシン作品は、しばしば「音楽の視覚化」と称される。チャイコフスキーの名曲からストラヴィンスキーをはじめとする現代音楽家までの音楽を緻密に読み込んで隙なく振り付ける。近現代の巨匠作品に精力的に取り組んできたスターダンサーズ・バレエ団が上演するのは『スコッチ・シンフォニー』。メンデルスゾーンがスコットランドの地を旅した際に着想したという交響曲第3番イ短調「スコットランド」に振り付けられている。男性がキルト・スカートを履いていたりするなど民族色も豊か。そこで典雅でクラシカル、それでいて小気味よく爽やかなダンスが繰り広げられる。林ゆりえ、吉瀬智弘を中心とする近現代の優れた作品群を踊りこんでいる粒よりの踊り手の好演に期待したい。

スターダンサーズ・バレエ団『スコッチ・シンフォニー』 撮影:A.I.Co.LTD.



東京シティ・バレエ団~熱狂的反響を巻き起こしたショルツ作品、早くも再演!



昨年(2013年)の日本バレエ界で最も評判を取った作品の一つが東京シティ・バレエ団によるウヴェ・ショルツ振付『ベートーベン 交響曲第7番』だった。ショルツは2004年に夭逝したドイツ人でシンフォニック・バレエを得意とした振付家だ。バランシン以後「音楽の視覚化」を個性的に追求した存在である。本作ではリズミカルで雄渾な響きを一音一音大切にしつつ意表を突く動きも織り交ぜる。才気煥発で美しく古びることはない。ただしクラシカルな技法がベースながら振付の密度が極めて高く、少しでも音を外せば破綻をきたす高難度の作品だ。バレエ団にとって新機軸の取り組みに熱い拍手が送られた。個人的には第2楽章のアレグレットの場面で踊った志賀育恵が強く印象に残る。完璧に音を捉え優雅に踊る姿は神懸ってさえいた。話題作の再演が実現!お見逃し無いように。

東京シティ・バレエ団『べ―トーヴェン 交響曲第7番』 撮影:鹿摩隆司



首藤康之 中村恩恵~研ぎ澄まされたダンス、洗練と深みある舞台



わが国におけるバレエ・ベースのコンテンポラリーダンスの開拓者が首藤康之と中村恩恵である。首藤は東京バレエ団のプリンシパルとして活躍し故モーリス・ベジャール作品の申し子として著名だ。同バレエ団を退団後はフリーランスとして活動し内外でマルチプルに活動。中村は世界の巨匠イリ・キリアンの愛弟子として知られ精神性の深い踊りによって独自の境地に達している。近年両者は協同作業を重ね、研ぎ澄まされたダンスを生み出し、洗練と深みある舞台創りを行う。『Shakespeare THE SONNETS』『小さな家 UNE PETITE MAISON』など傑作・秀作を連打している。その原点が今回上演される『The Well-Tempered』だ。時代を超えた普遍的な「愛」の有り様を深遠に描く3部からなる作品の最終部、バッハ(ピアノ:若林顕)を用いた二人のデュオを披露する。確固たる軸を持った実力者同士が紡ぎだす美しく奥深い舞踊宇宙に身を委ねたい。

首藤康之 中村恩恵『THE-Well-Tempered』 撮影:MITSUO



吉田都~日本バレエの至宝、三たび登場!



前回、前々回にも登場し観るもののため息を誘い公演の格を高めたのが吉田都である。世界屈指の有名カンパニー英国ロイヤル・バレエ団の元プリンシパルであり、その優美繊細極まりない踊りは至高の境地に達している。抜群の音楽性と奥ゆかしい表現からにじみでる品位あふれる踊りは他の追随を許さない。今回披露するのはロマンティック・バレエの名作『ラ・シルフィード』からパ・ド・ドゥ。昨夏もガラ公演で同作を披露したが、妖精そのものの軽やかさがあり、ロマンティシズム漂う異世界へと引きこんだ。このたびはシュツットガルト・バレエ団のプリンシパルでドラマティックなダンサー、フィリップ・バランキエヴィッチをパートナーに迎えての上演。必見といえるだろう。

吉田都 撮影:瀬戸秀美

フィリップ・バランキエヴィッチ 撮影:Bernd Weissbrod



NHKバレエの饗宴2014

  • 【日時】平成26年3月29日(土)
  •     開場:午後4時 開演:午後5時 終演予定:午後8時
  • 【会場】NHKホール
  • 【主催】NHK、NHKプロモーション
  • 【協賛】三菱商事株式会社
  • 【協力】チャコット株式会社
  • 【入場料】 全席指定・消費税込
  •       S席12,000円
  •       A席9,000円
  •       B席6,000円
  •       C席3,000円

  • *就学前のお子様の同伴・入場はご遠慮ください。

【前売り所】

■ e+(イープラス)

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■ チケットぴあ【Pコード 433-621】

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<音声応答電話予約>

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■ ローソンチケット【Lコード 38434】

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【お問い合わせ】

ハローダイヤル

03-5777-8600(午前8時~午後10時 無休)

【公式ページ】

http://www.nhk-p.co.jp/concert/20140329_151331.html