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【新刊発売記念、特別インタビュー!】日本バレエ協会理事の安達哲治先生が語る、バレエコンクール攻略の秘訣とは?


ジャクソン国際バレエコンクールなどで審査員を務めてきた安達哲治先生。その著書『バレエコンクール審査員は何を視るか?』が8月7日に発売されました。出版を記念して、安達先生に特別インタビューを実施しました!



長年の審査員経験があるからこそ、若いダンサーに伝えられること



―バレエコンクールの審査員を務める安達先生がこのような本を書かれた狙いは何ですか?

安達先生: 私は長年にわたりバレエコンクールの審査員として多くの若いダンサーたちを視てきました。その過程で私自身も、何をもって合否を決めるのかという審査の軸となる考え方や、審査のテクニックについて学んできました。たとえば、オーソドックスな表現から逸脱し拡散していく作品に対しては、いかに頭を整理して短い時間内に公平で正しい点数をつけるのか、また彼らが何を意図してそうした表現を目指したのかという物の見方にまで及びます。

逆に言えば、「審査員はこういう視方をするのか」という認識が、彼らにどれほどあるのかということ。客観的な視点を自分の中に持った上で、乗り越えていけるかどうかです。大切なことは、演じ手はひとりよがりではだめだし、ただ機械的に正確に踊ればいいというものでもない。バレエには歴史があり、時代ごとに解釈も変わってきました。そうした伝統から進化してきたものだということをきちんと理解することです。

そこで私は、審査員が何を視るかを知ることによって、彼らが何をすべきか、課題を乗り越えるにはどうしたらよいかを考えるのに役立つ手引書を作りたいと考えました。それがこの本です。


―この本の中で安達先生がもっとも強調したかった点はどこでしょうか?

安達先生: この本には、審査員としてどの部分を評価するのかということを書いたわけですが、それを理解するだけで、プロフェッショナルでエグゼクティブな存在になれるのかといえば、じつはそうではありません。

さきほど申し上げたように、ダンスクラシック(古典作品)といえども、その時代ごとに新たな解釈が生まれ、さまざまな演じ手によって新たな表現がなされてきました。物語の普遍性を保ちながらも、新たな技術や表現法が紡ぎ出され、収斂し、磨かれてきたのです。

ダンスクラシックに完成形はありません。歴史と伝統に裏打ちされた技術やノウハウを理解して学びながら、さらに新たな様式美や美的秩序を生み出せるような創造性や独創性が必要なのです。そうした部分をどうやって身につけたらいいのか、というヒントも、本書にはたくさん盛り込みました。

私も海外のバレエ団の公演に参加したり、研修させていただいたりして、著名なダンサーとお付き合いさせていただく機会が少なからずありました。彼らに共通するのは、踊り手として優れているだけでなく、人間的な魅力に溢れていることです。その部分をおろそかにしないことが、一流の表現者になるためには必要なのだということ。プロのダンサーを目指すわけではないとしても、豊かで実りある人生を送るためには必要なことだと思います。バレエを通じてそれが身についたら、どんなにかすばらしいでしょうね。


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