ISABELLE CIARAVOLA
イザベル・シアラヴォラ

~『天井桟敷の人々』で来日間近 今ひときわ輝いているエトワール

舞台写真ⓒ Michel Lidvac ポートレートⓒ Aki Michalski

 パリ・オペラ座バレエ団公演『天井桟敷の人々』でまもなく来日するイザベル・シアラヴォラは、今最も輝いているエトワールの一人である。オペラ座では、3月にローラン・プティ・プロで『ル・ランデヴ』をニコラ・ル・リッシュと共演し好評を博したのをはじめ、4月はノイマイヤー振付『マーラー交響曲第3番』では、天上的な美しさで観客をすっかり魅了した(前号既報)。

 マーラー・プロと日本で上演される『天井桟敷の人々』のリハーサルが重なる多忙な日程の中、時間を割いてくれたシアラヴォラをガルニエ宮の楽屋に訪ねた。その日は、バティスト役のマチュー・ガニオとのリハーサルを終えたところで、マーラー・プロの天使から一転して、美貌の女優ガランスの魅惑的な雰囲気を漂わせていた。

ⓒ Michel Lidvac

 「今回の日本公演は、オペラ座の公演に初めてソリストとして参加するので、私にとって特別なのです。前回の2010年の『ジゼル』は足の怪我で行かれませんでしたし。振付のジョゼ(マルティネズ)は、名画のシーンをとてもうまくダンスに移し替えていて、ちょっとしたユーモアを含んだ場面があったり、ただ踊るのではなく個々のジェスチャーにも意味があります。ディティールが凝っているので、1回と言わず2回は見ていただきたい。2回目はきっと違う印象を持ってもらえることでしょう」

 幕間にも『オテロ』の劇中劇があり、休みなしというのも普通のバレエとは違う。オペラ座では、大階段で上演したこの劇は、今回日本の会場に合わせて調整されるという。

「私が、最後に客席に降りていくところもどうなるのかしら。日本人の方たちと共演できるのも興味津々です」

ⓒ Michel Lidvac

 バスティーユを感動の渦に巻き込んだ『マーラー交響曲第3番』は、7月に日本でも<ライブ・ビューイング>で紹介されるが、シアラヴォラの天使は必見だ。

ⓒ Michel Lidvac

 「天使の役を初めて踊ったのは2009年3月、エルヴェ・モローとでした。まだプルミエール・ダンスーズで、4月の『オネーギン』でエトワールに任命される2ヶ月前のことでした。それまで踊ってきたノイマイヤーの『シルヴィア』や『椿姫』とは違い、斬新な動きで振付けられたネオ・クラシックの大変美しいバレエです。音楽的にも素晴らしい。アクロバティックなリフトが多用されていますが、これをいかにさりげなくこなすかが見せどころです。私の登場は舞台開始から1時間20分後。装置がないので、舞台に出た時視界に入るのは遥か遠くのお客様です。天使は、子供のナイーブさや純真さ、瑞々しさといった性格。これに対し、次のパ・ド・ドゥでは、愛そして死への道がテーマとなっていて、両者は平行しているのです。最後に私が歩いて退場していき幕を閉じますが、このバレエが大きな成功を収めたのは、この感動的なシーンのおかげにほかならないでしょう。ノイマイヤーにも満足してもらえました。映画館での中継は、多くの人に見てもらえるのでうれしいです」

ⓒ Michel Lidvac

 コルシカに生まれ、13歳までアジャクシオで、バレエを習う。両親が楽器商を営み、幼い頃から「音楽に合わせて体が自然に動いてしまった」という。パリ・オペラ座バレエ学校に入るには年齢的に遅すぎたので、コンセルヴァトワールを経て、88年オペラ座バレエ学校に編入、90年オペラ座バレエ団に入団した。93年にエマニュエル・ティボーと踊った『蝶々』などで、イタリアの名花カルラ・フラッチを彷彿とさせる古典的な美しさを印象づけるとともに、プティの『クラヴィーゴ』やボンバナの『七番目の月』などで新境地を開いた。2004年には、ラコット版『ラ・シルフィード』をマチュー・ガニオと踊り、息の合った舞台を披露。2009年4月の『オネーギン』でエトワールに任命されて以来、『ジゼル』や『椿姫』『ロミオとジュリエット』『泉』『マノン』といったドラマティックな作品で、オペラ座きっての女優バレリーナとして幅広く活躍している。

ⓒ Michel Lidvac

早いもので、来年3月に定年を迎えるが、引退公演は、誕生日に先立つ3月5日の『オネーギン』。  「引退は、来シーズン最後の『ノートルダム・ド・パリ』でとも考えたのですが、ニコラ・ル・リッシュの引退の時期と重なってしまいますし、初めての作品を踊るより、再演もので私の良いイメージを残したいと思ったのです。ほかにも『椿姫』や『ル・パルク』『優しい嘘』といった踊りたい作品が多いので、充実したシーズンになりそうです」

ⓒ Michel Lidvac

自身の公式サイトを訪問すると、ちょうどマーラーの『交響曲第3番』がバックに流れ、幻想的なムードがたっぷり。一方、ポートレートは、2月にオーストラリアで撮影されたものだそうで、輝くような笑顔がまぶしい。

ⓒ Aki Michalski

初のレッスンDVDも発売され、その美しいラインとポワントが評判。ガルニエ宮のブティックのモニターに映し出された映像に、足を止めじっくりと見入る観光客やファンも少なくない。「これは、クレム先生の発案で、二人の共同作業だったのですが、とても成功と思います。私のスタイルは特別で、バレエ学校で学んだ枠組みに、感じたままの動きが加わった、いわば“ソバージュ”が私の個性なのです」

ⓒ Michel Lidvac

ⓒ Michel Lidvac

今夏は、日本でのマスター・クラスにも意欲を燃やす。変幻自在のエトワール、シアラヴォラの多彩な活動からは目が離せない。


INFORMATION

パリ・オペラ座バレエ団来日公演『天井桟敷の人々(LES ENFANTS DU PARADIS)』

[名古屋公演]会場:愛知県芸術劇場大ホール

  • 5月25日(土)18:30 シアラヴォラ&ガニオ
  • 5月26日(日)13:00  ルテステュ&ビュリオン

[問]:052-320-9191

[東京公演]会場:東京文化会館

  • 5月30日(木)19:00 シアラヴォラ&ガニオ
  • 5月31日(金)18:30 ルテステュ&ビュリオン
  • 6月1日(土)13:00 シアラヴォラ&ガニオ
  • 6月1日(土)18:00 ルテステュ&ビュリオン

[問]:052-320-9191

<パリ・オペラ座へようこそ ライブビューイング2012〜2013>
『マーラー交響曲第3番』出演:シアラヴォラ、パケットほか

http://www.opera-yokoso.com/

<札幌芸術の森バレエセミナー2013>
札幌で開催されるバレエセミナーでポワント&ヴァリエーション・クラスを指導する。

  • [日程・会場] 8月4〜12日札幌芸術の森アートホール
  • [申込締め切り]5月17日
  • [受講申込・問合せ]TEL 011-592-4125/www.plus0.org