Ballet Factory

渡辺 真弓 ようこそ劇場へ

Bunkamuraで、パリを舞台にしたドキュメンタリー映画2本
『バレエに生きる ~パリ・オペラ座のふたり~』
『クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち』

『バレエに生きる ~パリ・オペラ座のふたり~』
『バレエに生きる ~パリ・オペラ座のふたり~』
『バレエに生きる ~パリ・オペラ座のふたり~』
『バレエに生きる ~パリ・オペラ座のふたり~』
『バレエに生きる ~パリ・オペラ座のふたり~』
『バレエに生きる ~パリ・オペラ座のふたり~』
『クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち』
『クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち』

『バレエに生きる ~パリ・オペラ座のふたり~』

 パリ・オペラ座出身の振付家ピエール・ラコット(1932〜)とロマンティック・バレリーナとして一世を風靡したギレーヌ・テスマー(1943〜)。 振付家とそのミューズ。ローラン・プティとジジ・ジャンメールを彷彿とさせるような・・・。 このフランス・バレエ界きっての理想のカップルの、60年の舞踊人生の軌跡をたどったドキュメンタリー映画が誕生した。

 監督は、『マチュー・ガニオ&ドミニク・カルフーニ〜2人のエトワール〜』や『アニエス・ルテステュ/美のエトワール』を撮ったマレーネ・イヨネスコ。

 ラコットは、パリ・オペラ座バレエ団出身で、プティと同じように自由を求めてオペラ座を退団し、『ラ・シルフィード』をはじめとするロマンティック・バレエの復興に情熱を注ぐ。 一方テスマーは、シルフィードを当たり役とし、パリ・オペラ座バレエ団のエトワールとして活躍した後、ラコットと共に、1985年、新生モンテカルロ・バレエ団の芸術監督に就任、 歴史あるモンテカルロの地に再びバレエの火をともし、後進の育成に力を注いだ。二人の活動の軌跡は、フランス、アメリカ、ロシア、モナコ・・・と世界を巡る。 映画は、この『生ける伝説』とも言える二人のバレエに捧げた人生を、知られざる貴重な舞台映像の数々を交えてとらえている。

 二人は、1968年に結婚。ラコットは、最愛のテスマーのために、『ハムレット』や『椿姫』など多くの作品を創作し、テスマーの女優バレリーナとしての資質をいかんなく引き出している。 二人のコラボレーションがひときわ脚光を浴びたのは、『ラ・シルフィード』の復元上演であった。このバレエは、1972年の元旦にテレビ中継された後、パリ・オペラ座のレパートリーになった。 1984年には、東京バレエ団が、テスマーとドナールを招いて日本初演し、ロマンティック時代を彷彿とさせる優雅な名演が感動を呼んだ。

 映像では、その後、ラコットが手がけた復元作品が次々に紹介される。 ラコットがオペラ座引退の演目として選び、若きエトワール、カルフーニと共演した『パピヨン』(76年)、 テスマーとヌレエフ主演の『マルコ・スパダ(盗賊の娘)』( 81年)、ザハロワとフィーリンによるプティパの大作『ファラオの娘』(2000年)、 本番では見られなかった“幻”のデュポンとルグリによる『パキータ』(2001年)などため息を誘うものばかり。 テスマーは、古典バレリーナとして卓越していたのみならず、バランシンのお気に入りでもあった。ニューヨークに招かれた時、いかにこの巨匠が、 テスマーをミューズとして大切にしていたかを伺わせるシーンも垣間みられ興味深い。

 近年、Bunkamuraで初演された『メリー・ウィドウ』(2008年)で、マリ=アニエス・ジロとマチュー・ガニオが息の合った共演を見せているほか、 『三銃士』(2010年)の、マチアス・エイマンやドロテ・ジルベールらのリハーサル・シーンなどが収められているのがうれしい。

※ 初秋、Bunkamuraル・シネマ、ほか全国順次公開。
配給:アルシネテラン 95分
© 2011 Delange Productions – Wide Management - all rights reserved.



『クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち』

  これまで、『BALLET アメリカン・バレエ・シアターの世界』(1995年)や『パリ・オペラ座のすべて』(2009年)を制作し、世界的バレエ団のプロフェッショナルな活動ぶりを内からとらえた異色のドキュメンタリー映画で脚光を浴びた巨匠フレデリック・ワイズマンが、 新たに取り組んだのが、「クレイジーホース」のエンターテイメント・ショーである。

  「クレイジーホース」は、1951年、アラン・ベルナルダンによって創立され、「ムーラン・ルージュ」「リド」と並ぶ、パリの3大ナイトショーの一つ。 パリのシャンゼリゼ通りに近いジョルジュ・サンク12番地にある。

  ワイズマンは、2009年に、「クレイジーホース」にカメラを潜入させ、パフォーマンスからリハーサル、衣装合わせ、ダンサーたちの日常生活、運営会議に至るまで、隅々まで密着取材。 いかに女性の美と官能を讃美した魅惑のショーが制作されていくのか、なぜこのショーが人々を魅了するのか、映像を通してその秘密を解き明かしてくれる。

 ショーの一つである『DÉSIRS(欲望)』の演出を担当したフィリップ・ドゥクフレは、フランスのコンテンポラリー・ダンス界の寵児。 サーカスやパントマイムを学んだ後に、ダンスの世界へ入ったキャリアがあり、エンターテイメント的要素の強い作品を数々発表。 1992年のアルベールヴィル冬季オリンピックの開会式と閉会式のパレードの奇抜な演出で、世界中をあっと言わせた。 「ショーはアートである」という姿勢を貫き、完璧な舞台を目指すために、1ヶ月の閉館を提案し、支配人らと攻防を繰り広げる場面は、ショー・ビジネスの舞台裏をのぞかせ、ワイズマン監督ならではの視点が感じられる。

※ 6月30日(土)より、Bunkamuraル・シネマほか順次公開。
© 2011 – IDÉALE AUDIENCE – ZIPPORAH FILMS, INC.TOUS DROITS RÉSERVÉS – ALL RIGHTS RESERVED
配給:ショウゲート

渡辺真弓

舞踊ジャーナリスト 10歳でバレエを始め、大学で舞踊教育学を専攻。 オン・ステージ新聞社編集部勤務を経てフリー。 1991年~2006年パリ在住。専門誌紙や公演プログラム等に寄稿。最新刊『名作バレエ50鑑賞入門』(写真:瀬戸秀美/世界文化社)。
公式ブログ
http://blog.livedoor.jp/balletpromenade/

『バレエに生きる 
~パリ・オペラ座のふたり~』

クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち