Ballet Factory

渡辺 真弓 ようこそ劇場へ

『シルヴィア』の魅力を語る
英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパル
佐久間奈緒インタビュー 

佐久間奈緒
佐久間奈緒
佐久間奈緒

佐久間奈緒 プロフィール

福岡出身。古森美智子バレエ団研究所で学んだ後、1993年のローザンヌ国際バレエ・コンクール出場を機に、英国ロイヤル・バレエ学校に留学。 1995年英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団に入団。2002年プリンシパルに昇進。 同バレエ団の日本公演では、2008年、『美女と野獣』のベルを(けが人の代役も含め3回連続で踊る)、2011年、『眠れる森の美女』のオーロラ姫と『真夏の夜の夢』のタイターニアを踊り、好評を博した。

 新国立劇場バレエ団では、この秋、レオ・ドリーブ作曲、デヴィッド・ビントレー振付による『シルヴィア』の新制作で、新シーズンをオープンする。 この制作は、2009年に、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団で上演されたもので、この改訂版で主役を演じた佐久間奈緒とツァオ・チーをゲストに迎えるのが話題。

 7月22日に新国立劇場で開催された<バレエ・アステラス 2012>出演のため、一時帰国中の佐久間に、『シルヴィア』出演にあたって、作品の見どころや抱負を語ってもらった。 <アステラス>への出演は、2年前に続いて2度目。今回は、厚地康雄とバランシン振付『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』を踊ったが、 「個人的に好きな作品で、ガラ公演などで、(ツァオ)チーとよく踊っている」というだけに、爽快な踊りを披露してくれた。

新国立劇場バレエ団へのゲスト出演は今回が初となる。

「私のバレエ団の芸術監督のデヴィッド(ビントレー)が、新国立劇場バレエ団の芸術監督になった時から、 いつか奈緒とチーをゲストにという話があったので、ぜひ踊れたらと願っていました。新国立劇場の方からも、いつ来るのと言われていましたし。 『シルヴィア』は、3年前に改訂された際、私とチーに合うように振付し直してもらったので、二人にとって特別な作品です。 それを踊れるのは、とても嬉しいことで、楽しみにしています」

ビントレーが、バーミンガム・ロイヤル・バレエ団のために、最初に『シルヴィア』を振り付けたのは1993年のこと。この時シルヴィアを演じたのは、吉田都だった。

「それ以来『シルヴィア』は、上演されていませんでした。2009年の改訂では、プロローグとクライマックスのグラン・パ・ド・ドゥが、がらっと変わりました。 93年の初演では、プロローグがなく、すべて神話の世界でしたが、新版の設定は現代(イタリアのイメージ)で、愛の冷めた夫婦の結婚記念のパーティー・シーンで始まります。 その夫婦というのがダイアナとオライオン、子供の家庭教師がシルヴィア、彼女が恋心を抱く召使いの若者がアミンタなのです。庭師のエロスが、恋の大切さを教えてあげようと、皆を夢の世界へ送ってくれるのです。 このような始まりなので、バレエを知らない方でも舞台に入りやすいと思います」

チラシやポスターを飾ったダイナミックなリフトのポーズが印象的で、目を引きつける。

「実は、このポジションに行くまでには苦労しました。公演直前に中国ツァーがあり、その合間に、上海のスタジオで練習したのです。 場面は、第3幕のグラン・パ・ド・ドゥのちょっと前。シルヴィアがダイアナに殺されそうになった時、アミンタが現れて、二人がようやく再会するところです」

さらにビントレーの振付と作品の見どころについて語ってもらうと。

「彼のいろいろな作品を踊っていますが、非常に音楽性豊かな振付家だと思います。『シルヴィア』は、音楽そのものがエキサイティングで、 音楽とステップがうまく調和しています。テクニック的にもハードで、一瞬ドキッとするような大きなリフトがあったりします。 現代から神話の世界へ入り込む設定も面白いし、お客様を笑わせるようなコメディーやユーモアのセンスもあるので、十分楽しんでいただけるものと思います」

今年で入団17年目という。

「あっという間でした。私もチーも、デヴィッドが着任したのと同じ95年に入団したのです。だから、今でも言われます。 奈緒とチーは、自分が最初に選んで、プリンシパルにまで上げたのだと。彼の中で自分が育てたという思いがあるのではないでしょうか。 チーとは、同じ東洋人で、動きの感じや音楽性が似通っているので、ほとんどのバレエを一緒に踊ってきました」

来シーズンは、9月の『白鳥の湖』でスタート。そして2013年の1月には、いよいよ新国立劇場で初演された『アラジン』がバーミンガムに登場する。

「どんなバレエか、皆興味津々です。まだ配役は決まっていませんが、これは踊りたいです!」

ぜひ希望が叶いますように。今回の『シルヴィア』を機に、新国立劇場へも引き続き客演してほしいものだ。

「毎年、夏と冬の2回は帰国しています。一人っ子なので、両親が待っている実家の福岡で過ごします。めんたいこが楽しみです。8月の下旬には、<ロイヤル・エレガンスの夕べ>に出演します」

日本での今後の公演予定は次の通り。一層の活躍を期待したい。。

●新国立劇場バレエ団『シルヴィア』

10月27日(土)2時
28日(日)2時
31日(水)7時
11月1日(木)2時
2日(金)7時
3日(土・祝)2時新

国立劇場オペラパレス[キャスト]

役名 27・1日 28・3日 31日・2日
シルヴィア 小野絢子 米沢 唯 佐久間奈緒
アミンタ 福岡雄大 菅野英男 ツァオ・チー
エロス 吉本泰久 八幡顕光 福田圭吾
ダイアナ 湯川麻美子 堀口 純 本島美和
オライオン 山本隆之 マイレン
トレウバエフ
厚地康雄

料金
S席12,600円〜D席3,150円、Z席1,500円
前売開始 
7月21日(土)10時〜
ボックスオフィス 03-5352-9999
Web ボックスオフィス HYPERLINK "http://pia.jp/nntt/

ロイヤル・エレガンスの夕べ
ロイヤル・バレエ団ゆかりの6人の振付家作品による一夜

佐久間奈緒は、ツァオ・チーと、『海賊』よりパ・ド・ドゥと『白鳥の湖』より
白鳥のパ・ド・ドゥを踊る。
8月28日(火)18時半ティアラこうとう大ホール
(都営新宿線・東京メトロ半蔵門線「住吉」駅より徒歩5分)
8月30日(木)19時、31日(金)15時鎌倉芸術館小ホール(JR大船駅より徒歩10分)
料金S席13,000円、A席10,000円
問い合わせ:050-5532-3488
http://www.dancetoursproductions.com

渡辺真弓

舞踊ジャーナリスト 10歳でバレエを始め、大学で舞踊教育学を専攻。 オン・ステージ新聞社編集部勤務を経てフリー。 1991年~2006年パリ在住。専門誌紙や公演プログラム等に寄稿。最新刊『名作バレエ50鑑賞入門』(写真:瀬戸秀美/世界文化社)。
公式ブログ
http://blog.livedoor.jp/balletpromenade/